群馬県佐波郡玉村町が舞台の映画「お盆の弟」を観てみた!レビュー,感想


群馬県佐波郡玉村町が舞台の『お盆の弟』という映画をご存知でしょうか?

第37回ヨコハマ映画祭において主演男優賞(渋川清彦さん)、助演男優賞(光石研さん)、助演女優賞(河井青葉さん)、脚本賞(足立紳さん)で4冠受賞した作品です。

DVDが貸し出しされていたので、借りてきて観ました!

ということで、今回は映画のレビューと言いましょうか、紹介や感想などを書きたいと思います。

最初に言っておきますが、今回の記事、いつもより長いです。

現在の西暦と同じくらいの文字数でございます。

※あまりネタバレは含んではいませんが、一応ご注意ください。

予告・あらすじ

妻子と別居中のうだつの上がらない映画監督タカシ(渋川清彦)は、ガンで入院中の兄マサル(光石研)の看病を理由に実家に戻っていた。彼の仕事は神社へのお参りと、兄のために夕飯の支度をすること。タカシは売れないシナリオライターで、地元の仲間藤村(岡田浩暉)とつるんでいたが、ある日、涼子(河井青葉)という女性を紹介され……。

(シネマトゥデイより引用)

監督・大崎章

監督は群馬県佐波郡玉村町出身の大崎章さん。

2006年には大森南朋さん主演映画「キャッチボール屋」で第16回日本映画批評家大賞新人監督賞を受賞しました。

脚本・足立紳

脚本は安藤サクラさん主演映画「百円の恋」で第39回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞を受賞した足立紳さん。

その「百円の恋」と「お盆の弟」で第37回ヨコハマ映画祭脚本賞も受賞しました。

主演・渋川清彦

主演を務めたのが、群馬県渋川市出身の俳優・渋川清彦さん。

多数の映画やドラマに出演している人気俳優さんでございます。

個人的には渋川清彦さんと言えば、堺雅人さん主演映画「ゴールデンスランバー」での、なんでもロックに結びつけるロック好き男”ロック岩崎”役が印象に残っております。

映画を観る前に伊坂幸太郎さんの原作を読んでいたのですが、渋めのルックスが自分のん中の”ロック岩崎”のイメージとぴったりでした。

そして、同じく伊坂幸太郎さん原作の「フィッシュストーリー」での売れないパンクバンド「逆鱗」のドラム・鉄矢役も印象に残っております。ドラムを叩く姿がめちゃくちゃかっこいい。

それもそのはず、渋川清彦さん自身が長年のドラム歴を持つドラマーであり、かつてはプロを目指していたこともあったそうです。

さて、今回の映画「お盆の弟」で渋川さんが演じたのは売れない映画監督・タカシ。

一言で言うと典型的な「ダメ男」なのですが、これが憎めない。

映画全編にわたり主人公のダメっぷりが遺憾なく発揮?されています。

その他のキャスト(出演者)

タカシの兄・マサル役には、数多くの作品に出演されている光石研さん。

渋川清彦さんと光石研さんのやりとりは、まるで本当の兄弟のように軽妙で自然です。

タカシの地元の悪友で焼き饅頭屋の”バカ息子”・藤村役に群馬県太田市出身の俳優・岡田浩暉さん。

岡田浩暉さんと言えば、感じの悪い金持ちの役が多いイメージ(偏見w)ですが、今回の役は全然違います。

とにかく岡田さんのぶっ飛び具合が最高に笑えます。演技の幅を見せつけられました。

普段の岡田さんのイメージが完全に崩壊しています。もちろん、良い意味で。笑

こういう役をもっとやってほしいです。

地方情報雑誌の記者で、この作品でのヒロインにあたる涼子役には河井青葉さん。

だらしない”キャラの濃い”男たちが多い本作の中で、しっかりとした大人の女性といった感じの役で一種の清涼剤的な役割を果たしています。

他にもテレビでお馴染みの田中要次さんや渡辺真起子さんなども出演されています。

ロケ地

群馬県はこれまでに多くの映画が撮影されており、ロケ地としてはよく使われる場所です。

映画やドラマで東京が舞台という設定で群馬県内で撮影されていることは多いですが、この映画は、本当に舞台がそのまま撮影地の”群馬県佐波郡玉村町”なのです。

どのシーンも玉村町民には馴染み深い風景ばかりだと思います。

主人公の住所が群馬県佐波郡玉村町福島770なのですが、これをグーグルマップで検索すると・・・

遊び心に、思わずニヤリ。

玉村町以外にも高崎市や東京の阿佐ヶ谷などで撮影しています。

感想

「なんなん?」

改めて感じる群馬弁のインパクトの凄まじさ。

正直、群馬県にいても、劇中の人たちほど方言が強い人はあまり見かけないくらいですが、これのせいで会話がいちいち面白いです。

方言以外にも、群馬の名物である焼き饅頭や上州牛、群馬の生活情報誌「パリッシュ」が出てきたりと、群馬県要素満載の映画で、まさに群馬県人でないと撮れない映画だと思いました。

そして、こちらの映画、場面の切り替えで笑いを生み出すのが非常に巧みで、群馬県人以外でも笑えるシーンがたくさん盛り込まれています。

また、泣くまではいかない悲壮感の混じらない切なさが心地よく、重苦しくなりがちなモノクロ映画の空気感を、時折入る笑いと音楽で和らげている印象を受けました。

人生につまづいた人間がそれでも不器用なりに生きていく姿を描いた非常に人間味あふれる内容でありながら、夜に肩の力を抜いて気楽に観れる作品です。

テンポが良く、あっという間の107分でした。観終わった後、しばらく余韻に浸っていました。

群馬県人、特に玉村町に馴染みのある人はもちろん、そうでない人にもオススメできる映画です。